第10回東京支部学術大会

会長挨拶

会長 木村哲


 このたび、日本医療マネジメント学会第10回東京支部学術集会を担当させて頂くことになりました。第10回と言う記念すべき学会を担当できますことは誠に光栄でありますが、責任も重いものと心を引き締めているところであります。

 現在、医療を取り巻く環境は非常に厳しく、勤務医の絶対数の不足と偏在に加え、診療関連死が異状死として警察へ届け出ることが義務化されたことから、医療の萎縮が進み、医療が急速に崩壊して参りました。さらに、利用者の医療に対する期待と実際の医学・医療のレベルや実際の医療体制との間に大きなギャップがあり、トラブルとなる事例が増えており、それを避けるために医療が益々萎縮傾向になると言う悪循環が生じています。私達は医療の質を高め利用者の期待に応えていかなければならないのに、現状はそれに逆行しているようにも映ります。

 このようなことも視野に入れて、今回の学術集会のテーマを「医療の質の向上をめざして」と致しました。「医療の質」には医学としての質と医療システムとしての質、医療サービスとしての質など多様な視点が含まれてます。医療安全、診療関連死の原因究明と再発防止に向けた医療安全調査委員会(仮称)の設立準備、病院感染対策、クリティカルパスやDPCによる医療の標準化と効率化、医薬の安全性確保、地域医療連携と救急医療体制の確保、医療経済・行政との調整など課題は広範です。

 色々な切り口で患者さんの安全と安心、満足のために心のこもった質の高い医療を提供できる環境を整えられるよう、多くの職種が集まり議論を深める学術集会にしたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

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